メキシコの高速鉄道計画が迷走の末に事実上頓挫し、波紋を広げている。中国企業がいったん落札したが、撤回されたあげく、メキシコのペニャニエト政権に対する贈賄疑惑など大スキャンダルに発展し、世界中から批判が殺到。追い込まれたメキシコ政府は原油安と財政難を理由に計画そのものを棚上げした。しかし、高速鉄道の本格的な海外進出プロジェクトのモデルにと期待していた中国側は激怒し、補償を求める騒ぎに拡大している。
「豪邸」で抱き込み?
世界のインフラ整備事情に詳しい国際金融機関幹部は「計画自体が頓挫することもあり得ると思っていたが、まさか、こんな“理屈”をつけてくるとは…」と肩をすくめる。
メキシコ政府は1月30日、2015年予算からの歳出の2・6%削減などを柱とする財政緊縮策を発表した。発表自体は予想されていたが、市場を驚かせたのが、緊縮策に同国が鳴り物入りで導入しようとしていた高速鉄道計画の棚上げが含まれていたことだ。